すでに去年のこと。
12月29日の夜でした。
28日に年内の仕事を納め、
ゆったりした気分で部屋の床に寝転がって
DVDで借りた映画『ビューティフル(原題:BIUTIFUL)』を
見始めてしばらくして、あるメールが届きました。
それは、僕が社会人となってから長いことお世話になった方の
突然の死の知らせでした。
20代から今まで数えきれないほど相談や叱咤や
応援をしてもらった方です。
実は、僕は仕事が12月の冬休みに入る前、その方に、あることで
お礼を言いたい─いや、言うべき─と思っていたのですが、
その短い時間をとることを怠り、果たして、
言えないでお別れすることになってしまったのです。
“来年でいいや…”
そう軽く考えていた僕が愚かでした。
おそらく、僕は一生、悔やむと思います。
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『ビューティフル(原題:BIUTIFUL)』
『バベル』の監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの
2011年の作品。
なぜ、そのとき、この映画のことに気づかなかったんだろう…
と不思議に思うくらい、素晴らしい物語世界でした。
スペインのバルセロナを舞台に、
グローバリズム、市場経済、親子の愛、死と生、宗教…諸々。
今のこの世界の現実を、独特の映像美で切り取って
まるで一遍の詩のように見せてくれます。
余命2ヶ月という男─父でもある─の最期の時間が
物語の進むベースになっているので、
上に書いた僕の個人的な体験と不思議とシンクロしました。
結局、翌々日の31日、大晦日の夜に全編じっくり見直し、
個人的に2012年のベストといえる映画作品となりました。
素晴らしいし、凄い作品だと思います。
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『ビューティフル(原題:BIUTIFUL)』
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 、
アルマンド・ボー 、
ニコラス・ヒアコボーネ
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス
エドゥアルド・フェルナンデス
ディアリァトゥ・ダフ